なぜ学校に行けなくなるのか?
人間は一人ひとり全然違うと言う事を理解している人がほとんどいないからだと思う。自分が出来たから、他の人も出来るだろうと思ってしまうところに原因がある。今の社会のシステムの多くは「良く出来る人」が作っている。学校の先生も「学校に行けた人」がほとんどである。
人間はまず、五感が違う。そもそも、この世界に一人として五感の感じ方が同じ人間は存在しない。五感を通して脳に送られた信号が処理されるプロセスも一人として同じ人はいない。私達が理解し、把握している「世界」は一人ひとり違うオリジナルの物である。ある程度は似ているが、突き詰めていくと「全く同じ」ではないといった場合が多い。非常に大きな違いがある場合もある。今の社会では違いが大きいほど生き辛くなる傾向にある。手足を動かしたり、声を出したりするなどの体のコントロールする為のプロセス、能力も一人ひとり違う。
「行きたくない」から行かないのではない。「どうしても行けない」のである。その理由は、不登校の数だけある。あらゆる可能性を検討する必要があるが、必ずしもはっきりと原因を確定できるものではない。不登校に対応する際には、まず、「自分にとっての幸せの定義」を明確にしておく必要がある。次に、自分にとっての幸せと自分以外の人の幸せは違う事、自分を幸せに出来るのは自分だけ、と言う事を理解しておく必要がある。
その上で私は、次の優先順位にそって行動している。
1、心の健康
2、体の健康
3、好きなことをする
4、必要なことをする
1、心の健康
自分の心の健康がまず何より大事である。不安やストレスが強くなると精神疾患になる。悪化すると社会生活を送れなくなったり、自殺や他殺に至ったりする場合がある。不安は心にダメージを与える思い込みからくる。心が元気になる情報に触れ、自分が自分のままで良いと思える人に会い、無理なく学び、成長出来る環境を周囲に構築する必要がある。
自分にある程度の余裕がなければ、他者の心の健康に目を向けることは出来ない。自分の心の健康を確保した上で、家族の心の健康に細心の注意を払う。
2、体の健康
ある程度、バランスの取れた食事と適度な運動をし、異常がある場合は適切な医療をうける。
3、好きなことをする
人間は、好きなことを夢中でしている時にこそ成長する。無理にやらされても害にしかならない。
4、必要な事をする
好きな事を継続する為にはお金を得たり、家事をしたり、書類を書いたりする必要がある。
私の知る限り、本当に何もできない人はほとんどいない。生まれた時から意識がなく寝たきりの子も、心拍数でコミュニケーションをとっていたと聞いた。目の動きや、ほんのわずかに動く指先でコミュニケーションを取る人も多い。
その子を注意深く観察し、得意なところは伸ばし、先天的に難しい事については、決して無理をさせてはいけない。その子にあった適切な環境さえ整えられれば、どんな子どもも輝く。大人になって、自分で自分の輝く環境を整えられる人もいれば、そうではない人もいる。そうではない人には適切なサポートが提供されるべきある。適切なサポートとは、決して一方的なものではなく、お互いがお互いを輝かせあうものである。
無理に学校に行かそうとして自殺した子や、精神を病んで何十年も引きこもっていたり、入院したりしている人を多く知っている。今、日本に引きこもりは約110万人、不登校は約20万人いるとされる。子どもの自殺も増えている。孤立の果てに凄惨な事件を起こす者も増えてきている。今の社会は「犯罪者養成社会」となっている。社会全体の「人間についての認識」が変わっていく必要がある。認識が変わればシステムは自ずと変わらざるを得ない。
私の兄は、中学の時不登校になり、家を破壊し、自殺未遂に他殺未遂にと地獄だった。ところが、不登校の人を広く受け入れている高校に入ると見違えるように生き生きとし、誰よりも活躍していた。そのことから不登校に興味を持った私は、不登校ではなかったが、不登校の人が多く行く高校へ行った。そして多くを学び、妻と出会い、父になった。
息子はASDで、不登校となりフリースクールへ通っている。フリースクールでは、息子が来てからスクールが明るくなった、年下の子にとても優しく勉強やスポーツを教えてくれる、と言ってもらい、毎日元気に明るく通っている。娘は軽度知的障害があり支援級に通っている。2人とも羨ましくなるくらい楽しそうに生き生きとしている。
自分は自分のままでいいと思える事
挑戦し、成長し続ける事
お互いの良さを活かしあえる関係性を作れる事
これが私にとっての幸せの定義である。
そして、子ども達にも伝えていきたいと思っている。
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