④「存在への不安」について

 前回(旭川女子中学生いじめ凍死事件)の記事を書いた後、ツイッターで多くの人をフォローさせてもらった。理由は、前回の記事は凄惨な事件についてであり、私のこれまでの様々な思いを込めて、かなり気合を入れて書いたので、より多くの人に読んでもらいたいと思ったからである。私達の活動は13年前から始めたが、現在、全く知名度もなく、講演の依頼も3年前が最後となっている。
 このホームページの記事も、1記事につき10回アクセスあるか無いかである。何とか見に来てくれる人を増やしたいとの思いから、ツイッターで約1000アカウントをフォローさせていただいた。その内約100アカウントがフォローバックしてくれ、30名程度がホームページを訪れてくれた。不快に思われた方がいたら、お詫び申し上げる。
 私達の活動は、落合可奈子の歌と劇がメインの内容であるが、このホームページの記事は夫である私、落合厚志と、妻の落合可奈子が書いている。どちらが書いているかは記事タイトル付近にある「投稿者」の所で確認できる。

 今回は、随分前に予告していた「存在への不安」について書く。この「存在への不安」は当事者の口から聞いたり、文献で見たりした事はないが、私が勉強や多くの人との関わりの中で感じるようになったものである。完全に表現することは難しいが、イメージしやすい言葉で表現するならば、「自分はいない方が良い」「〇〇が出来ない私は存在価値が無い」のようなニュアンスになるだろう。

 個人的には、「心」を無視して考えるならば、そもそも、この宇宙が何の為に存在しているのか私には分からないので、地球が爆発したり、宇宙が消滅したりしたとして、誰か困る人がいるのかも分からない。その意味では「存在する必要のある人」と「存在する必要のない人」の区別があるとは私は思わない。

 「存在への不安」は最近よく言われる「自己肯定感」の反対の「自己否定感」と言う事も出来る。いずれも環境によってもたらされる物である。生まれてから長期間、暴言・暴力・ネグレクト・性暴力・教育虐待・面前DV・腐ったものやゴミを食べさせられる・眠らせない・親子逆転・共依存・過干渉・過保護・両親の不仲等、自己を否定される経験や、強すぎるストレスのある環境、いわゆる機能不全家族で育つと、心の中に「存在への不安」が生まれる。環境には、心を良好な状態で維持できる環境と、心を蝕み、不健康にしていく環境があると言える。子どもは、自分で環境を選択することは出来ない。大人も、知識や経験がなければ、自分の心を健康な状態に保てる環境を選択し続けていくことは簡単な事であるとは言えない。

 私は、どの人も、その時のその人にとって、出来る限り精一杯の選択、行動をしていると思っている。しかしながら、「存在への不安」が強い人は物事を好転させる選択や行動をすることが難しい。なぜなら、しんどいながらも、昔からずっと害のある環境にいた為に、それ以外の環境を知らず、また、変化を恐れるため、今までしんどいながらも生きてこられたので、何が起こるかわからない未知の選択を避ける為である。不安を根拠とした行動は、次の不安を生み出していく。しかし現実的には、すべての物事は変化し続けていくので、自らも変化し、新しい事に挑戦し続けていくことこそ、最大の守りとなる。

 「存在への不安」を解消するのは非常に困難である。まず、自覚すること自体が困難である。自身の心を不安にさせている、一つひとつの認知(自分自身や様々の物事をどのように捉えているか)を「自分の心を健康に保てる認知」に置き換えていく必要がある。今まで自分の中にあった、正しい・間違い、良い・悪い、と言った概念を見直す必要がある。その為には、世界観や価値観を広げる事が非常に重要となる。世界は広大である。今までいた世界では否定され続けていたとしても、探し続ければ、どこかに必ず、自然体で存在していられる場所がある(自ら生み出すとも言える)。

 私自身も、以前は「存在への不安」が少しあったように思う。他者から認められ、必要とされる人間にならなければならないとの思いから従順で真面目であった。その状態で、挑戦と挫折を繰り返し、カルト集団に行きつき、失踪し、警察に保護された結果、「自分は、他者の要求を満たす為に存在しているのでは無い、好きなことを好きなようにやろう」と思い至った。そして、一番やりたいと思ったのが、この活動である。

 今回の記事で、存在についてから始まるシリーズの区切りとなる。書きにくかった為、途中から文体が「です・ます」調から「である」調に変わっているが悪しからず。

存在について
良いコミュニケーションと悪いコミュニケーションについて
続・良いコミュニケーションと悪いコミュニケーションついて

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